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語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学(目次と語呂合わせのまとめ)

 

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「語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学」のシリーズが完結しましたので、全体の目次とシリーズに登場したすべての語呂合わせをまとめておきたいと思います。

化学の、特に無機化学の分野は全体が捉えづらく、また本当に覚えづらいところですが、教科書や市販の参考書を見ると、あるものは情報量が少なすぎたり、あるものは逆に詳しすぎたりして、なかなか受験生のニーズに合うものがないように思います。また「頭にいれるための工夫」に配慮してある本もあまりありません。私自身がそうであったように、現在の高校生の皆さんもきっとこの分野では苦労をしていることでしょう。

このシリーズは永野数学塾での授業用に作成した「虎の巻」を元に書きました。センター試験で90点以上を取れるだけの情報量になることを念頭において、私なりに覚えづらい無機化学を頭に入れるための工夫を凝らしてあるつもりです。

ある種の使命感(?)に燃えて記事を順次アップしている時に、読者(受験生)の方からこんなメールをいただきました。

(前略)
わかりやすく 語呂合わせも 覚えるのに使わせてもらってます。
無機の分野は 苦手だったのですが このページを見て
まとめたら 今まで以上に理解できるようになりました。
どの参考書よりも わかりやすかったです。
本当にありがとうございます!

このシリーズによって、1人でも多くの受験生が高校無機化学を攻略してくれたらこんなに嬉しいことはありません。がんばれ受験生\(^o^)/

 

このシリーズで気をつけたこと

 

・体系立てて徹底的に整理する。

・「どうしてそうなるのか」の理由を明らかにする。

・特に覚えづらいものは語呂合わせで乗り切る。

・できるだけ画像を多く使う。

・実験などの動画を引用する。

センター試験で90点以上は取れる情報量にする。

 

目次

 

語呂合わせのまとめ

17族 ハロゲン篇

  • 有色の気体

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  • 水に不溶の塩化物

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16族 酸素・硫黄篇

  • 同素体

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14族 炭素・ケイ素篇

  • 中性の気体=水に溶けない気体

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気体の製法と性質篇

  • 銅+希硝酸→一酸化窒素
    3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2NO↑

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  • 銅+濃硝酸→二酸化窒素
    Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2

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1族 アルカリ金属篇

  • 炎色反応

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2族 マグネシウムとアルカリ土類金属篇

  • 炭酸イオン、硫酸イオンで生じる沈殿

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  • カーバイド+水→アセチレン
    CaC2 + 2H2O → Ca(OH)2 + C2H2

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両性金属・水銀・合金篇

  • 両性元素

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  • 不働態

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  • アンモニア過剰で溶けるもの

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  • めっき
    鉄+亜鉛:トタン
    鉄+スズ:ブリキ

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遷移元素と錯イオン篇

  • 地殻に含まれる元素の大きい順

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  • 鉄イオンの反応

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  • クロム酸イオンと金属の沈殿

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語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学(遷移元素と錯イオン篇)

 

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Photo Credit: fotoeins via Compfight cc

永野数学塾の「虎の巻」を公開する「語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学」シリーズ9回目の今日は遷移元素と錯イオン篇です。

「17族 ハロゲン篇」 「16族 酸素・硫黄篇」
「15族 窒素・リン篇」 →「14族 炭素・ケイ素篇
→「気体の製法と性質篇 →「1族 アルカリ金属篇
→「2族 Mgとアルカリ土類金属篇 →「両性金属・水銀・合金篇
→「遷移元素と錯イオン篇 →「目次と語呂合わせのまとめ

遷移元素の中で特に重要なのが金Au、銀Ag、銅Cu、鉄Fe、クロムCr、マンガンMnです。また、遷移元素はすべて金属であることに注意しましょう。

最後に錯イオンについても学びます。

元素周期表(遷移元素)

まずは遷移元素全般に言える性質から!

 

遷移元素

周期表の1、2族及び12~18族の元素は典型元素と呼ばれる。典型元素は族番号が増えるに従って、最外殻電子の数が増えていき、同じ族では最外殻電子の数が同じなので化学的に類似した性質を示すのに対し、3~11族の元素は遷移元素と呼ばれ、族番号が増えても最外殻電子の数は1~2個のままであり、族番号が増えても最外殻の電子数(価電子)は増えずに内側の軌道に電子が増えていく。

このような電子配置のため遷移元素には典型元素にはない様々な特徴がある。

例)第3周期の電子配置
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それでは各元素について詳しく見ていきましょう。まずは鉄からいきます。

 

鉄Fe

  • 金属の中ではAlに次いで地殻に多く存在する。

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鉄の製法

鉄の単体は鉄鉱石赤鉄鉱(主成分Fe2O3磁鉄鉱(主成分Fe3O4を溶鉱炉でCOや高温のCなどによって還元して得られる。ただしこの還元は次のように段階的に行われる。鉄の酸化数の変化に注意。

Fe2O3+Ⅲ) → Fe3O4+Ⅲ、+Ⅱ=Fe2O3+FeO) → FeO(+Ⅱ) → Fe(0

2013-06-07_1715こうして得られた鉄の単体には炭素などの不純物が含まれるが、これを銑鉄(せんてつ)という。銑鉄に酸素を吹きこみ余分なCや不純物のSやPをを酸化させて取り除いたものが鋼(こう)。鋼は「はがね」とも呼ばれ、強靭で多くの機械部品や建設材料に使われている。また銑鉄の上に浮かぶ不純物はスラグという。

 

 

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鉄イオン

鉄のイオンにはFe2+とFe3+があります。これらは共に有色で、水酸化物イオン(OH-)、ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム、チオシアン酸カリウムなどと以下の表のように反応します。赤字のところが特に重要です。

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ちょっと、苦しい語呂合わせですね…(すいません)。さあ(気を取り直して)、次は銅です!

 

銅Cu

  • 赤みのある金属光沢.
  • 電気・熱の良導体。
  • 湿った空気中に放置すると表面に緑色のサビである緑青(ろくしょう:CuCO3・Cu(OH)2)生じる。

 

Cuの製法

黄銅鉱(CuFeS2)を溶鉱炉で還元して、硫化銅(Ⅰ)Cu2Sとする。次にこれに空気を送り込んでCuを得る。

  • Cu2S + O2 → Cu + SO2

しかしこのようにして得られたCuの純度は99%程度でこれを粗銅という。粗銅の純度を高めるためには粗銅を陽極、純銅を陰極にして硫酸銅水溶液を電気分解する。これを電解精錬という。

  • 陽極:Cu → Cu2+ + 2e(Fe → Fe2+ + 2e 、Ni → Ni2+ + 2e
  • 陰極:Cu2+ + 2e → Cu

2013-06-08_2212陽極の粗銅の中の不純物のうちCuよりイオン化傾向の大きいFeやNiはイオンとなって溶け出し、Cuよりイオン化傾向の小さいAgやAuはイオン化せずに単体のまま陽極の下に沈殿する。これを陽極泥という。一方、陰極ではイオン化傾向のFe2+やNi2+よりイオン化傾向の小さいCu2+が電子を受け取って純銅ののまわりに付着する。これにより、純度約99.99%の純銅が得られる。

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CuSO4・5H2O硫酸銅五水和物)

  • 青色の結晶
  • 熱するとH2Oを失って白色粉末になる。

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銅イオン

銅のイオンにはCu2+Cu+があります。

Cu2+を含む水溶液にNaOHまたは少量のNH3を加えるとCu(OH)2青白色のゲル状の沈殿を作るが、NH3を過剰に加えるとテトラアンミン銅(Ⅱ)イオン[Cu(NH3)4]2+という錯イオンを作って溶ける。

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銀Ag

  • 白色の金属光沢.
  • 電気・熱の最良導体
  • また空気中に放置しても酸化はされないが、硫化水素とは常温ですみやかに反応する
    4Ag + 2H2S + O2→ 2Ag2S + 2H2O
  • 化合物の酸化数は常に+1
  • 光の反射率が95%と高く鏡や魔法瓶、写真材料などに用いられる。

※ 硫化水素は温泉や自動車の排気ガスに含まれており銀製品の黒ずみの正体はこのAg2Sである。酸化銀であると勘違いしている人が多い。

 

AgNO3(硝酸銀)

  • 無色の結晶で水によく溶けて光によって分解する(感光性)。
  • 種々の銀化合物の原料。
  • 硝酸銀水溶液にNH3を加えたものをアンモニア性硝酸銀水溶液(銀鏡反応の試薬)という。

※ 水溶液中のAgが還元されてAgが析出し、試験管の底が鏡の様になる反応。

 

AgX(ハロゲン化銀)

  • AgF以外は水に不溶の沈殿を作る。
  • 感光性があり、光が当たると分解して単体の銀を析出する(写真の感光剤)。
    2AgBr + 光 → 2Ag + Br2

ハロゲン化銀の沈殿は次の溶解性も重要です。

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↓AgClが沈殿する様子とAgClがNH3水に溶ける様子

 

銀イオン

銀のイオンはAg1種類。

Agを含む水溶液にNaOHまたは少量のNH3を加えると褐色のAg2Oが沈殿しますが、NH3を過剰に加えるとジアンミン銀(Ⅰ)イオン[Ag(NH3)2]+という錯イオンを作って溶ける

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↓銀イオンとNaOHで沈殿ができる様子とさらにNH3を加えるとその沈殿が溶ける様子

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さあ、次はクロムです。単体よりも化合物が重要です!

 

クロムCr

  • 単体は極めて安定。
  • イオン化傾向は水素よりも大きいが濃硝酸には不動態を作り溶けない。
  • 両性金属。
  • 合金の原料としても広く使われている。

※ Cr + Ni : ニクロム、Cr + Fe + Ni : ステンレス鋼
参考記事: 両性元素・水銀・合金篇

クロムが不動態を作ることや両性金属であることが問われることはあまりありません。クロムは化合物が重要です。

 

K2Cr2O4(クロム酸カリウム)

クロム酸カリウム

  • 黄色の結晶
  • 沈殿を作りやすい

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K2Cr2O7(二クロム酸カリウム)

ニクロム酸カリウム

  • オレンジ色の結晶
  • 硫酸酸性下で強力な酸化剤

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クロム酸イオン(黄色)を含む水溶液に酸を加えるとニクロム酸イオン(オレンジ色)を生じる。反対にニクロム酸イオンに塩基を加えるとクロム酸イオンに戻る。

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クロム酸イオンもニクロム酸イオンもCrの酸化数は共に+Ⅵなので酸化還元反応では無いことに注意しましょう。

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次はマンガンです。マンガンも単体より化合物が重要です。

 

マンガンMn

  • 単体は灰色の金属。
  • イオン化傾向はAl>Mn>Znで大きい(空気中で容易に酸化される)。
  • 酸化数は+Ⅱ、+Ⅳ、+Ⅵ、+Ⅶの様々な化合物を作る。

 

KMnO4(過マンガン酸カリウム)

  • 水によく溶けて赤紫色MnO4を生じる。
  • 硫酸酸性下強力な酸化剤である。

↓KMnO4とH2O2の酸化還元反応でKMnO4がMn2+になると無色になる様子

 

MnO2(酸化マンガン)

  • 水に不溶。
  • 化学反応の触媒
  • 酸化剤(乾電池の正極活物質塩素の実験室での製法で使用)。

※ MnO2 + 4HCl → MnCl2 + 2H2O + Cl2
参考記事:ハロゲン篇

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錯イオン

金属イオンにNH3やH2OやCNなどの非共有電子対を持つ分子やイオンが配位結合をしてできた多原子イオンを錯イオンという。中心金属イオンに配位結合する分子や陰イオンを配位子、その数を配位数という。

 

主な配位子の名称

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主な中心金属の配位数と構造

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※ 配位数の基本はイオンの価数の2倍です。例外はFe2+の6。

 

構造の例

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錯イオンの化学式と名称の付け方

  • 化学式は全体を[ ]で囲み、その右上に錯イオンの価数を書く。
  • 名称は配位数、配位子、中心金属(酸化数)の順でつける。
  • 配位数にはギリシャ数詞を使う。
  • 陽イオンの場合は最後が「~イオン」陰イオンの場合は最後が「~酸イオン」になる。

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「語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学」は今回が最終回です。(あとで目次的なまとめページは作る予定です)。お疲れ様でした!!m(_ _)m



語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学(両性元素・水銀・合金篇)

 

8197548940_6270586a72_b  Photo Credit: John C Williams via Compfight cc

永野数学塾の「虎の巻」を公開する「語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学」シリーズ8回目の今日は両性元素・水銀・合金篇です。

「17族 ハロゲン篇」 「16族 酸素・硫黄篇」
「15族 窒素・リン篇」 →「14族 炭素・ケイ素篇
→「気体の製法と性質篇 →「1族 アルカリ金属篇
→「2族 Mgとアルカリ土類金属篇 →「両性金属・水銀・合金篇
→「遷移元素と錯イオン篇 →「目次と語呂合わせのまとめ

今回は

  • 12族:亜鉛(Zn)水銀(Hg)
  • 13族:アルミニウム(Al)
  • 14族:スズ(Sn)鉛(Pb)

合金について学んでいきます。このうちHgをのぞく、Zn、Al、Sn、Pbは酸とも塩基と反応する両性元素です。

元素周期表(両性元素)

まずは両性元素全般に言える性質から!

両性元素

一般に金属は「塩基性」であり、イオン化傾向が水素よりも小さい金属(金、銀、銅、白金、水銀)を除くすべての金属は酸に溶けて水素を発生します。

  • 例)2Na + 2HCl → 2NaCl + H2

ただし、金属の中で両性元素と呼ばれる次の4つの金属は酸だけでなく強塩基の水溶液とも反応し、水素を発生して溶解します。

両性元素:Al(アルミニウム)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)

また両性元素の酸化物や水酸化物も酸と強塩基の両方に反応して溶けます。

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それでは各元素について詳しく見ていきましょう。まずはアルミニウムから。

 

アルミニウム Al

  • 両性金属単体も酸化物も水酸化物も酸と塩基の両方に溶ける。)

 

単体Alの反応

  • 2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2
  • 2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2

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酸化物Al2O3(白色粉末)の反応

  • Al2O3 + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2O
  • Al2O3 + 2NaOH + 3H2O → 2Na[Al(OH)4]

 

水酸化物Al(OH)3(白色ゲル状)の反応

  • Al(OH)3 + 3HCl → AlCl3 + 3H2O
  • Al(OH)3 + NaOH → 2Na[Al(OH)4]

単体も酸化物も水酸化物も酸や強塩基に溶けたときの錯イオンが同じであることに注意しましょう。

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テルミット反応

Al粉末と酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3の混合物テルミットという)に点火すると、反応と共に多量の熱が生じて融解したFeが生成します。この反応をテルミット反応といいます。Alは大変酸化されやすく強い還元力を持ち、Alの燃焼熱は金属中で最大です。

↓高校の化学部が文化祭で演示実験したそうです。

 

不動態

Al、Fe,Niの各金属は濃硝酸や濃硫酸と不動態を作り反応しません。これは金属の表面に安定で緻密な酸化被膜が生じこれが内部を保護するためですが、このように金属が本来反応すべき状態にあるにもかかわらず、化学的に反応性を失ってしまった状態を不動態といいます。

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アルミニウムの製錬

原料にはボーキサイト(主成分はAl2O3・nH2O)を用います。このボーキサイトには不純物としてFe2O3(酸化鉄(Ⅲ))やSiO2(二酸化ケイ素)が含まれるので、これからまず純粋なAl2O3(アルミナ)を取り出します※1。アルミナは融点が高いので氷晶石(Na3AlF6)を融解させたものに混合して融点を下げ、炭素電極を用いて融解塩電解※2を行い単体のアルミニウムを得ます。

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AlK(SO4)2・12H2O(ミョウバン)

  • 硫酸アルミニウムAl2(SO4)3と硫酸カリウムK2SO4から成る複塩(2種以上の塩が一定の割合で結合した塩)で、水溶液は弱酸性
  • 結晶は無色透明の正八面体をしており、加熱すると六水和物 → 無水和物(粉末)と変化する。
  • 上水道の清澄剤、染色の媒染剤、紙のにじみ止め(サイジング)など利用されている。

 

亜鉛Zn

  • 周期表の12族に属する元素で2個の価電子を持つ(二価の陽イオンになりやすい)。
  • 両性金属単体も酸化物も水酸化物も酸と塩基の両方に溶ける。)

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単体Znの反応

  • Zn + 2HCl → ZnCl2 + H2
  • Zn + 2NaOH → 2H2O → Na2[Zn(OH)4] + H2

Zn単体が酸や塩基に溶けるときはZnがZn2+になったときに放出される電子(e)をH2Oの電離によって生じたH+が受け取るので水素(H2)が発生する。

 

酸化物ZnO(白色粉末)の反応

  • ZnO + 2HCl → ZnCl2 + H2O
  • ZnO + 2NaOH + H2O → Na2[Zn(OH)4]

 

水酸化物Zn(OH)2(白色ゲル状)の反応

  • Zn(OH)2 + 2HCl → ZnCl2 + 2H2O
  • Zn(OH)2 + 2NaOH → Na2[Zn(OH)4]

※ 亜鉛は両性金属の中で唯一、水酸化物が弱塩基のアンモニア水とも反応して錯イオン(テトラアンミン亜鉛(II)イオン)を作り溶解する(AlとSnとPbの水酸化物は強塩基でないと溶解しない)。

Zn(OH)2 + 4NH3 → [Zn(NH3)4]2+ + 2OH

他に銅(II)イオン銀(I)イオンも塩基性下で沈殿{Cu(OH)2やAg2O}を生じるが,

これにアンモニアを過剰に加えると沈殿が溶ける

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スズSn

  • 両性金属

 

単体Snの反応

  • Sn + 2HCl → SnCl2 + H2

Sn2はSn4に酸化されやすいので、SnCl2は強い還元力を持ちます。

  • Sn + 2NaOH + 4H2O → Na2[Sn(OH)6] + H2

AlやZnと同様にSnがSn2になった際に放出する電子eをH2Oの電離によって生じたHが受け取って水素(H2)が発生します。

 

鉛Pb

  • 両性金属
  • 酸化数は+2+4
  • 化合物は水に不溶なものが多い。
  • 放射線を遮蔽(しゃへい)

鉛は水に不要な化合物が要チェックです。

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※ 鉛は水素よりイオン化傾向の大きい物質であるが、塩酸HCl硫酸H2SO4には白色沈殿を作るため、溶けない

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めっき

トタン

  • 鉄(Fe)亜鉛(Zn)のめっきをしたもの。

450px-トタンの倉庫P3263925トタンの倉庫

 

ブリキ

  • 鉄(Fe)スズ(Sn)のめっきをしたもの。

Tin_toysブリキのおもちゃ

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以上で両性金属は終わりです。ここで酸化物の性質についてまとめておきます。

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最後に水銀と合金について見ておきます。

 

水銀Hg

単体Hg

  • 金属の中で唯一常温で液体の元素(非金属では臭素Brも常温で液体)。
  • 常温では酸化されない⇒多くの金属と合金をつくりやすい。
  • 他の金属との合金をアマルガムという。
  • 酸化数は+1+2を取る。

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水銀の塩化物

  • 塩化水銀(I)Hg2Cl2 : 甘汞(カンコウ)ともいい、水に不溶の白色沈殿。無毒
  • 塩化水銀(II)HgCl2 昇汞(ショウコウ)ともいい、水に可溶の無色の結晶。猛毒

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水に不溶の塩化物には他にAgClやPbCl2もありますが、AgClは過剰のアンモニアに溶けPbCl2は熱湯に溶けます。Hg2Cl2は過剰のアンモニアにも熱湯にも溶けないので他の2つと区別することができる。

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合金

有名な合金をまとめておきます。

黄銅

青銅

白銅

ジュラルミン

  • Al、Cu、Mg、Mn … 軽くて強度が大きい。(航空機材)
    【カメラ機材用アルミケース】アルミキャリングケース LLサイズ ショルダーストラップ付 AL case LL シルバー ジュラルミン製のケース

ステンレス鋼

  • Fe、Cr、Ni … さびにくい。(厨房用品、食器)
    SA 18-10 共柄三層鋼 雪平鍋 目盛付 18cm AYK52018 ステンレス鋼の鍋

ニクロム

はんだ

  • Pb、Sn … 融点が低い。(金属の接着)

無鉛はんだ

 

練習問題

さあ、それでは問題をやってみましょう。

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解答はコチラ

2013-06-07_1056
2013-06-07_1106

解答はコチラ

今回は長くなってしまいましたね…m(_ _)m。お疲れ様でした!!



語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学(2族 Mgとアルカリ土類金属篇)

 

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Photo Credit: Daniel Peckham via Compfight cc

永野数学塾の「虎の巻」を公開する「語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学」シリーズ7回目の今日は2族のマグネシウムとアルカリ土類金属篇です。

「17族 ハロゲン篇」 「16族 酸素・硫黄篇」
「15族 窒素・リン篇」 →「14族 炭素・ケイ素篇
→「気体の製法と性質篇 →「1族 アルカリ金属篇
→「2族 Mgとアルカリ土類金属篇 →「両性金属・水銀・合金篇
→「遷移元素と錯イオン篇 →「目次と語呂合わせのまとめ

2族元素は大き分けて2つのグループに分かれます。1つは下の周期表の青枠のとBe(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)もう1つは赤枠Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)です(Raはほとんど出題されません)。

元素周期表(2族)

赤枠の4つの元素は互いに性質がよく似ているのでアルカリ土類金属と呼ばれます。

 

アルカリ土類金属の性質

アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba)の性質

  1. 炎色反応を示す。
  2. 常温の水と反応して水素発生
      Ca + 2H2O → Ca(OH)2 + H2
  3. 水酸化物が水に溶けて強塩基
  4. 硫酸塩が水に難溶

Be、Mgはアルカリ土類金属と逆の性質を持つ。
※ Mgは強熱すると明るい光を出して燃焼

ちなみにアルカリ土類金属の「土」というのは、その酸化物が水に溶けにくく、熱にも強いことから名付けられました。次に2族元素の化合物の水溶性についてまとめておきます。

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アルカリ土類金属のイオン鉛(Pb)のイオンを含む水溶液に炭酸イオン(CO32硫酸イオン(SO42を加えると白色沈殿を生じます。この事は試験でもよく聞かれるので語呂合わせを紹介しておきましょう。

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次は2族の化合物について見ていきましょう。特にCaの化合物が重要です。

 

Caの化合物

CaCO3(炭酸カルシウム)

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  • 石灰石、大理石の主成分。
  • 焼くと生石灰(CaO)二酸化炭素がつくられる。
      CaCO3 + CaO → CO2

 

CaO(酸化カルシウム)

  • 生石灰(せいせっかい)。
  • 水を注ぐと激しく発熱しながら反応して、白色粉末状の水酸化カルシウム(消石灰)になる。
      CaO + H2O → Ca(OH)2
  • コークス(C)を混ぜて強熱すると炭化カルシウム(カーバイド:CaC2が得られる。
      CaO + 3C → CaC2 + H2O
    ※ カーバイドに水を加えると、アセチレン(C2H2)ができる。
      CaC2 + 2H2O → Ca(OH)2 + C2H2
    2013-05-21_1238

↓生石灰が水と反応して発熱する様子の動画

 

Ca(OH)2(水酸化カルシウム)

  • 消石灰(しょうせっかい)
  • 飽和水溶液は石灰水(塩基性)
  • CO2を通じると、炭酸カルシウムの白色沈殿を生じる。 
    Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3↓ + H2O
    さらに通じると、炭酸水素カルシウムを生じて無色の溶液になる。
      CaCO3 + CO2 + H2O ←→ Ca(HCO3)2
    この反応の正反応により鍾乳洞が、逆反応により鍾乳石石筍(後述)ができる。

 

CaSO4(硫酸カルシウム)

  • 2水和物は石膏(せっこう)
  • [latex] \dfrac {1} {2} [/latex]水和物は焼き石膏
    ※ CaSO4・2H2O(石膏)は120~140℃に加熱するとCaSO4・[latex] \dfrac {1} {2} [/latex]H2O(焼き石膏)になる。これを水で練って放置すると再び石膏(2水和物)になって固まる固まる性質があることから、ギブスなどに使われている。
    CaSO4・2H2O ←→CaSO4・[latex] \dfrac {1} {2} [/latex]H2O + [latex] \dfrac {3} {2} [/latex]H2O

 

CaCl2(塩化カルシウム)

Calcium_chloride

  • 空気中の水分を吸収する乾燥剤(潮解性がある)。
    ※ NH3を含む気体にはCaCl2・8NH3を作るので使用できない。

 

CaCl(ClO)・H2O(さらし粉)

  • Ca(OH)2(消石灰)に低温で塩素を充分に吸収させると得られる
    Ca(OH)2+ Cl2 → CaCl(ClO)・H2O
  • 殺菌・漂白作用があり、プールの消毒などに使われている。
    ※ 組成式を2倍するとCaCl2・Ca(ClO)2・2H2Oになることから、さらし粉は塩化カルシウム次亜塩素酸カルシウム複塩であることがわかる。
    さらし粉を水に溶かすと各成分イオンのCa2+、Cl、ClOにぞれぞれ電離する。次亜塩素酸イオンは強い酸化作用を持ち、殺菌・漂白作用を示す。さらし粉はドイツ語でクロールカルキ、略してカルキとも呼ばれ、プールの消毒などによく用いられる。

 

Caの化合物ではありませんが以下の化合物も重要です。

 

BaSO4(硫酸バリウム)

530px-Bariumsulfatpulver

  • 水に難溶
  • X線造影剤

CO2(二酸化炭素)を過剰に加えると沈殿が溶ける理由

水酸化カルシウムの水溶液にCO2を過剰に加えると沈殿が溶けるのは、炭酸カルシウムが炭酸水素カルシウムに変わるからです。

2013-05-20_1814

 

炎色反応

アルカリ土類金属もアルカリ金属と同様に炎色反応を示すので以下にまとめておきます。

金属元素の中にはその化合物の水溶液を白金線につけてガスバーナーの外炎にいれると炎の色が変化するものがあります。この反応を炎色反応といいます。

炎色反応

2013-05-17_1252

 

鍾乳洞、鍾乳石、石筍

鍾乳洞、鍾乳石・石筍に関しては上記の各項目ほどには頻出分野ではありませんが、綺麗な写真を載せたいので書きます(^_-)-☆

鍾乳洞

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Photo Credit: kendrick via Compfight cc

  • CaCO3を多く含む石灰岩地帯ではCO2が溶けた地下水によって
      CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
    化学的侵食が起こり、長い年月をかけて洞窟(鍾乳洞)ができる。

 

鍾乳石・石筍

  • Ca(HCO3)2を多く含んだ水が石灰岩の割れ目に沿って流れ落ち、鍾乳洞の天井からゆっくりとにじみ出ると空気中にH2OとCO2が放出されるので鍾乳洞ができる時の逆反応が起こり
      Ca(HCO3)2 → CaCO3 + CO2 + H2O
    により、CaCO3が析出する。これが長い年月をかけてつらら状になったものが鍾乳石でこの水滴が地面に落ちて同様にCaCO3が析出し、たけのこ状になったものが石筍(せきじゅん)である。

鍾乳石
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Photo Credit: ComputerHotline via Compfight cc

石筍
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Photo Credit: SamuraiCatJB via Compfight cc

さあ、それでは練習問題です。

 

練習問題

2013-05-21_1741

解答はコチラ

 

2013-05-21_1743

解答はコチラ



語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学(1族 アルカリ金属篇)

 

130517Sodium Loses Its Luster Photo by llnl photos

永野数学塾の「虎の巻」を公開する「語呂合わせと徹底整理で攻略する高校無機化学」シリーズ6回目の今日は、1族のアルカリ金属です。今日から4回に分けて金属をまとめていきます。

「17族 ハロゲン篇」 「16族 酸素・硫黄篇」
「15族 窒素・リン篇」 →「14族 炭素・ケイ素篇
→「気体の製法と性質篇 →「1族 アルカリ金属篇
→「2族 Mgとアルカリ土類金属篇 →「両性金属・水銀・合金篇
→「遷移元素と錯イオン篇 →「目次と語呂合わせのまとめ

アルカリ金属とは周期表の1族のうち水素を除いたLi(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Rb(ルビジウム)、Cs(セシウム)、Fr(フランシウム)のことですが、Rb、Cs、Frはほとんど出題されません。

元素周期表(アルカリ金属)

まずアルカリ金属単体の基本的な性質を見ていきましょう。

 

アルカリ金属の性質

アルカリ金属の性質を表にまとめました。

2013-05-17_1226

  1. 最外殻電子(価電子)の数が1個で1価の陽イオンになりやすい
  2. 融点が低い
  3. 密度が低(Li.Na、Kは水に浮く)。
  4. 常温の水と激しく反応して水素発生
        例) 2Na  + 2H2O → 2NaOH + H2
  5. 空気中で酸化され(酸素と化合して)酸化物になる。
        例) 2Na  + O2 → 2Na2O
  6. 石油中に保存する(←空気による酸化を避けるため)。
  7. 酸化物や水酸化物は水に解けると強塩基(アルカリ)
  8. 炎色反応を示す。

※ 炎色反応については次にまとめます。

 

炎色反応

金属元素の中にはその化合物の水溶液を白金線につけてガスバーナーの外炎にいれると炎の色が変化するものがあります。この反応を炎色反応といいます。

炎色反応

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トンネルや空港等に使われているオレンジ色のランプはナトリウムランプですが、ナトリウムランプがオレンジ色なのとナトリウムの炎色反応が黄色であることは同じ原理です。

from Trey Ratcliff at www.stuckincustoms.com
photo credit: Stuck in Customs via photopin cc

次はよく出題されるナトリウムの化合物について詳しくみていきましょう。

 

ナトリウムの化合物

NaOH(水酸化ナトリウム)

755px-SodiumHydroxide

  • 水に良く溶け、水溶液は強塩基性
  • 空気中に放置すると次第に水分を吸収して溶ける(潮解性)。  

    水酸化ナトリウムの潮解

  • セッケン、紙、パルプの製造に用いられる。

製法: 電解槽を区切る隔膜に陽イオン交換膜(陽イオンだけを通す特殊な膜)を用いて、NaCl水溶液を電気分解する。

NaOH製法


NaCl → Na + Cl
によって発生したNaが陽イオン交換膜を通って陰極室に入り、
H2O→ H + OH

によって発生したOHと化合して
Na +OH →NaOH
が生成する。

 

Na2CO3(炭酸ナトリウム 別名:炭酸ソーダ

  • ガラスやセッケンの原料。
  • 炭酸ナトリウム十水和物(Na2CO3・10H2O)の結晶は無色透明。
  • 十水和物の結晶を空気中に放置すると水和水が失われて、白色粉末状になる(風解性)。

    炭酸ナトリウム十水和物の風解

  • 水に良く溶けて、加水分解により塩基性を示す。
    CO32 + H2O ←→ HCO3OH

製法アンモニア・ソーダ法(ソルベー法)←あとで詳しくやります。

 

NaHCO3(炭酸水素ナトリウム 別名:重曹

800px-Sodium_bicarbonate

  • 白色の粉末。
  • 水に少し溶けて加水分解により弱塩基性を示す。
    HCO3 + H2O ←→ H2CO3 + OH
  • 以下の反応により加熱すると熱分解してCO2を発生するので
    2NaHCO3 → Na2CO3CO2 + H2O
    ベーキングパウダー(ふくらし粉)や発泡性入浴剤などにも使われる。
    ※ 炭酸ナトリウムは熱分解しない

 

2013-05-18_0639

Na2CO3の製法であるアンモニア・ソーダ法(ソルベー法)については特に出題されやすいので詳しくみていきましょう。

 

アンモニア・ソーダ法(ソルベー法)

炭酸ナトリウム(Na2CO3)はガラスの原料として特に重要な物質で工業的には次の①~⑤の工程で大量に製造されています。原料が何か?生成物が何か?再利用出来るものは何か?をしっかり抑えましょう。

NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NaHCO3↓ + NH4Cl

塩化ナトリウムの飽和水溶液にアンモニアを十分に吸収させてから、CO2を吹きこむと比較的溶解度の小さい炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が沈殿する。すなわち、以下の2つの反応を合成している。
NaCl → Na + Cl (飽和水溶液)
NH3 + CO2 + H2O → NH4 + HCO3
溶解度の違いからNaHCO3(沈殿) と NH4Cl(溶解)を分離する。

② 2NaHCO3Na2CO3 + CO2 + H2O 【熱分解】

①で生成した沈殿(NaHCO3)を焼くと、炭酸ナトリウムが得られる。CO2再利用。

CaCO3 → CaO + CO2 【熱分解】

①で使用するCO2の半分は②式で回収されるが不足分は石灰石(CaCO3)を熱分解して補う。

④ CaO + H2O → Ca(OH)2

③で発生したCaOを水と反応させて水酸化カルシウム(Ca(OH)2を得る

⑤ Ca(OH)2 + 2NH4Cl → 2NH3CaCl2 + 2H2O

④で生成した水酸化カルシウム(Ca(OH)2と①式で生成したNH4Clを反応させると
「弱塩基の塩 + 強塩基 → 弱塩基 + 強塩基の塩」
により、 ①式で使うNH3が回収できる。

全体2NaClCaCO3 Na2CO3CaCl2

2013-05-18_0652

さあ、それではこれまでのことを踏まえて練習問題をやってみましょう!

 

練習問題

2013-05-18_0659

解答はコチラ

 

2013-05-18_0701

解答はコチラ



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