Author Archives: 永野裕之

1974年東京生まれ。
暁星高等学校を経て東京大学理学部地球惑星物理学科卒。
同大学院宇宙科学研究所(現JAXA)中退。
高校時代には数学オリンピックに出場したほか,
広中平祐氏主催の「数理の翼セミナー」に東京都代表として参加。

現在,個別指導塾・永野数学塾(大人の数学塾)の塾長を務める。
これまでにNHK,日本経済新聞,『日経おとなのOFF』他
テレビ・ビジネス誌などから多数の取材を受け,
週刊東洋経済では「数学に強い塾」として
全国3校掲載の1つに選ばれた。
NHK(Eテレ)「テストの花道」出演。

著作に『大人のための数学勉強法』
『大人のための中学数学勉強法』(以上ダイヤモンド社)。
『根っからの文系のためのシンプル数学発想術』(技術評論社)。
『問題解決に役立つ数学』(PHP研究所)。

プロの指揮者でもある。
既婚。2女の父。

Blog統合のお知らせ

 

いつも『永野数学塾塾長日記』をご覧いただき、ありがとうございます。
この度BlogはHatena Blog『永野裕之のBlog』に統合することに致しました。つきまして、誠に勝手ながら当Blogの更新をストップさせていただきます。最新情報は↓のHatena Blogをご覧いただければ幸いです。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

《Hatena Blog》
永野裕之のBlog

 

 

 

 

【新刊】ふたたびの高校数学(すばる舎)

 

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あのときわからなかった公式の意味が、いまこそ理解できる!
高校数学から大学数学の入口まで、学びやすく、理解しやすい独自の構成で解説。定理や公式に隠された「本当の意味」がわかり、真の理解が進む。のみならず、数学という学問の「全体像」も見えてくる、大人の再入門&再発見。

本書のテーマは、

「高校数学とは何だったのか?」

という問いに答えることです。

大人のための学び直し本や、現役の高校生のための参考書にも良書・類書が少なくない中で本書の特徴をあげるとすれば、つぎの3点にまとめられると思います。

  • 分野別の再構成(数学マップ)
  • 行間を徹底的に埋めた解説
  • 歴史や社会との繋がりを紹介したコラム

ひとつずつ、書きますね。

 

分野別の再構成(数学マップ)

高校生が数学に迷う一つの理由は、各単元の内容が互いにどのように関係するかが見えづらいことにあるのではないでしょうか? カリキュラムに沿って、次々に新しい単元を学ぶ必要があるので、今学んでいる単元がなんの分野なのか、そして過去に学んだ単元とどのように関係するのかを理解をする余裕が高校生にはなかなかありません。

そこで、本書では高校数学に登場する各単元を以下のように7つの分野別に整理して再構成しました。こうすることでそれぞれの連携がわかりやすくなると思います。

  1. 幾何学:説得術として発展した数学
  2. 代数学:方程式を解くための数学
  3. 解析幾何学:数と図形の統一
  4. 数論と数列:1,2,3…が一番難しい!?
  5. 解析学:関数と微積分
  6. 確率と統計:偶然を処理するための数学
  7. 大学への数学:線形代数と複素数平面

また、数学全体を俯瞰してもらえるように、巻頭には以下の「数学マップ」も用意しました。これは中学・高校・大学(1・2年程度)の数学の内容を、高校数学にクローズアップしてその繋がりをまとめたものです。

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行間を徹底的に埋めた解説

普段教えていて多くの生徒さんが躓くところは特に気をつけて詳しく書きました。式変形は端折らずにすべて記載しましたし、公式等を利用する際にはその都度ガイドを入れてありますので、途中でなにをやっているかがわからなくなってしまう、ということはおそらくないと思います。また読者がモヤッとした疑問を持ちそうなところはできるだけ(注)を設けてフォローしています。

数学の勉強は

  1. 新しい概念を学ぶ
  2. 定理や公式の意味を理解する
  3. 問題を解く

という3つのステップを踏むのが常道です。

ただし高校では、定期試験や大学入試を意識するあまり、「3」に偏った勉強をしてしまうことが少なくありません。学生は本来の目的を見失ったまま、「解き方を覚えて問題を解く」ということに終始してしまいがちです。そうなると問題が解けない学生にとっては、数学は苦行のようになってしまいますし、問題が解ける学生にとっても、クリアできるかどうかが最大の関心事となるゲームの類と数学は大差がなくなってしまうでしょう。

一方、大学の数学では上記の「1」と「2」にこそ重きが置かれます。なぜなら、大学では数学を学問として捉えているからです。学問である以上、それを学ぶ意味や目的をつかむために、「何が新しい概念なのか」、「新しい概念を通じてどのようなことがわかるのか」といった事が最も重要なのは言うまでもありません。

「高校数学とは何だったのか?」という問いに答えを出すことは、言い換えれば、高校数学を学問として捉え直すことです。だからこそ本書では、学ぶべき概念を紹介することと定理や公式を導くことに多くの紙面を割きました。ブロックをひとつずつ積み上げていくように本書を読み進めていただければ、「あのとき学んだあの数学はこういう意味だったのか!」と膝を打ってもらえるだろうと自負しています。

各節には問題も用意されていますが、これらは実際に解く必要はありません(もちろん、腕に自信のある方は是非挑戦してみてください!)。それぞれの問題に付けた解説・解答を通して、「解法のテクニック」がなくても、概念や定理・公式の本質的な理解があれば問題はちゃんと解けるということを分かっていただければ十分です。そういう意味では、「数学の勉強の仕方がわからない」、「いくら解法を暗記しても問題が解けない」と悩む現役の高校生の皆さんにとっても、お役に立てることがあるでしょう。

本書は2014年4月に上梓した『 ふたたびの微分・積分』の「弟分」にあたります。前著では高校数学の頂点である「微分・積分」を、徹底的に行間を埋めて、できるかぎり丁寧に説明しました。そのコンセプトは本書も変わりません。ただし、微分・積分の内容は前著と重複するため「超概論」としてその概念のみを紹介するに留めてあります。微分・積分について定理や公式の詳しい導出・計算テクニックにご興味のある方は是非前著を御覧ください。

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歴史や社会との繋がりを紹介したコラム

本書には全部で19のコラムが収められています。タイトルだけ紹介しますね。

  1. 「数学」の語源について
  2. 幾何学を学ぶ本当の理由〜パスカルの説得術〜
  3. 古代の「方程式」〜代数学の本質は一般化〜
  4. 解の公式をめぐるドラマ〜3次方程式の解の公式の紹介〜
  5. デカルトの革命〜幾何学と代数学の融合〜
  6. オイラーが考案した絶対に正しい推論〜論理と領域〜
  7. 美しも気高い「数学の女王」
  8. 友愛数と完全数とメルセンヌ数
  9. 「数学的帰納法」というネーミングについて
  10. 函数と自動販売機
  11. 三角関数なんて役に立つの?〜フーリエ展開の恩恵〜
  12. 対数は感覚を司る?〜ウェーバー・フェヒナーの法則〜
  13. ネイピア数(自然対数の底)e
  14. 直感を裏切る確率
  15. 相関関係についての注意点
  16. ベクトルの使いみち〜その2つの顔〜
  17. ベクトルの「成分」と基底の取り換え
  18. 行列の使いみち〜マルコフ連鎖とシェア分析〜
  19. オイラーの公式を導く

コラムには、高校で学ぶ数学が歴史の中でどのようにして生まれ、社会の中でどのように役立っているかを、また高校数学と大学数学の繋がりについても書きました。教科書的な記述とは別の側面から高校数学を捉えることで、「立体的な理解」が進むことを期待しています。

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目次

『ふたたびの高校数学』目次(PDF)『ふたたびの高校数学』目次(PDF) 

 

Amazonの立ち読み(なか見!検索)では「はじめに」や目次も含めて冒頭の40頁ほどと「さくいん」が公開されています。どうぞご覧ください。
※↓画像クリックでAmazonサイトに飛びます。

 

謝辞

正直なことを申し上げると、私はこの本を書き始めたとき、まさかこれ程のボリュームになるとは想像していませんでした(全592頁!)。もっと簡単にざっと概観することで、「高校数学とは何だったのか」をお伝えできると思っていたのです。しかし、書き進めていくうちに、どうしてもお伝えしたいこと、説明を端折れないことが次から次へと湧いてきて、どんどんと分量が膨れ上がってしまいました。

ふつう書籍の執筆を行う際には、頁数の上限があって、原稿をカットせざるを得ないということが珍しくありません。でも、すばる舎の編集の稲葉健さんには「分量のことは気にせず、徹底的にやってください」という有り難い励ましのお言葉を頂戴し、本書には私の書きたいことをすべて書かせてもらうことができました。この場を借りて深く御礼申し上げます。

余裕で自立します♪

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自著の中でもダントツの分厚さ

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●出版社サイト

www.subarusya.jp

●Amazon

【新刊】中学生からの頭がよくなる勉強法(PHP研究所)

 

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新刊『中学生からの頭がよくなる勉強法』出ます。

 

本書は、私としては初めて中学生のお子さん本人に向けて書いた本です。日頃、塾で接している生徒さんのことを思い浮かべながら、一人ひとりに語りかける気持ちで書きました。

 

お伝えする内容は前著『東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法』をベースにしていますが、中学生のお子さんでも理解しやすいように表現やたとえやエピソードを工夫したつもりです。また各節の最後には、勉強法について生徒さんから受けることが多い質問をQ&Aの形でまとめました。紙面も、編集の田畑博文さんやイラストレーター・デザイナーの方のお力添えで、お子さんの目が先に進みやすいものになっていると思います。

 

タイトルにある「頭がよくなる勉強法」とは「自分の頭で考えられるようになる方法」とまったく同義です。本書にはそのための心構え(第2章)技術(第3章)が書かれています。それらはもちろん学力に直結します。 また、多くのお子さんや親御さんの関心が高い「やる気を引き出す方法」(第1章)や、数学を中心とした科目別の勉強法(第4章)についても多くの紙面を割きました。

 

一方で、本書には受験テクニック的なものは一切載っていません。それは、そもそも私がそういう裏技的なテクニックを持ち合わせていないということもありますが、知っている者だけが得をするような表面的な「知識」はこれからの時代に不必要だと強く感じているからです。

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中学生には平成24年度から実施されております現行の指導要領においても、「自分の頭で考えられる力」には大きな重点が置かれています。従来の評価の中心であった知識や技能よりも、思考力、観察力、表現力の3つの力が特に重要視されるようになりました(文部科学省ではこれらをまとめて「生きる力」と称しています)。

 

これを反映し、知識偏重気味のセンター試験が平成31年に廃止されることになったのは既報の通りです。大学入試制度がドラスティックに変化していく中で、ゆとり教育は言うにおよばず、詰め込み教育も成果をあげることはできなくなるでしょう。それは、情報化社会の現代においては顕著な価値観の多様化と変化のスピードと無関係ではありません。これからは、今まで以上に「自分の頭で考えられる力」が求められる時代になります。

 

手前味噌ながら、この本でお伝えする勉強法はそんな新時代を生き抜く力そのものを育てると自負しております。本書を通して、お子さん一人ひとりが自分の足で立てるようになるお手伝いができれば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。

 

目次

はじめに

第1章:「やる気」を引き出すために知っておくべきこと

  1. 勉強をする理由
  2. あなた持っている「やる気の種」
  3. 4つの「やる気スイッチ」
  4. やる気になるための「わかる」とは
  5. 「わかる」の次にすべきこと
  6. トップアスリートに学ぶセルフ・コントロール
  7. 勉強で一番大事なこと=楽しむこと

第2章:学力を伸ばすために知っておくべきこと(心構え編)

  1. 学力が伸びるために必要な3つの要素
  2. 勉強=暗記 ではない
  3. 目標を達成する方法
  4. 教わり上手な子の3つの特徴
  5. 読書のススメ

第3章:学力を伸ばすために知っておくべきこと(技術編)

  1. 中学生からのノート術
  2. アクティブに学ぶ〜調べる〜
  3. 記憶の種類とポイント
  4. 永野式記憶法(1)〜ストーリー記憶法〜
  5. 永野式記憶法(2)〜メモリーツリー〜

第4章:教科別勉強法〜数学を中心に〜

  1. 数学の勉強法(1)〜中学1年生編〜
  2. 数学の勉強法(2)〜中学2年生編〜
  3. 数学の勉強法(3)〜中学3年生編〜
  4. 数学の勉強法(4)〜数学の成績が上がりづらい理由〜
  5. 英語の勉強法
  6. 理科の勉強法

おわりに

【新刊】中学生からの数学「超」入門: 起源をたどれば思考がわかる(ちくま新書)

 

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新刊『中学生からの数学「超」入門: 起源をたどれば思考がわかる (ちくま新書)』が出ました。

本書は、数学史を縦糸に、中学数学の意味と意義をお伝えする本です。タイトルに「中学生からの~」とありますが、中学生レベルに合わせて簡単に書いた、というわけではなく、読者対象はあくまで大人です。特に

「学生時代に、数学なんて勉強させられて損した」

と思っている方にこそ読んでいただきたいと思っています。

数学としてはほんの「触り」にすぎない中学数学からでもこれだけのことが学べて、しかもそれは人生を生きる上で実に有意義なのだということを、数学史を紐解きながら実感していただけるように書いたつもりです。また、本書は中学数学全体を復習する「勉強の本」ではありません。実用書とは一線を画し、読者の知的好奇心を刺激することを第一に考えて構成してあります。

もちろん、意欲のある中高生にも読んでもらえたらとても嬉しいです。学校の教科書に載っていることが、有史以前から受け継がれてきた人類の叡智の結晶であることを実感してもらえると思います。

いずれにしても、本書を読んで

「やっぱり数学は、すべての人が学ぶべき学問だ」

と思ってもらえれば、筆者としては最高の喜びです。

 

本書の内容

本書は、中学で学ぶ数学を

  • 幾何学(第1章)
  • 代数学(第2章)
  • 解析学(第3章)
  • 確率&統計学(第4章)

の4分野に分け、各章の前半に関連する数学史を、後半にその分野で特に学んで欲しいことをまとめました。また「問題」も適宜配置しています。難しいと感じた場所はさらっと読み飛ばしてもらっても何ら支障ありません。

また巻末には本文中に登場する数学史のトピックをまとめて↓のような「関連年表」も付けました(クリックで拡大します)。

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目次

はじめに

第1章 図形―幾何学

哲学は幾何学からはじまった
パスカルの説得術について
脅威のベストセラー『原論』の定義と公理
情報を整理し活用する「分類」
さまざまな視点―水平思考を磨く
「良い形式」を身につける―証明の進め方(中2)
「正しい推論」について
証明の初歩―三角形の合同条件(中3)
相似の問題演習
中学数学の到達点―三平方の定理(中3)
多くの定理が成立する美しい図形―円(中3)
円の問題演習
「逆を見る視点」を磨く―面積と長さ(中1)
「立場を変えて見る視点」を磨く―三平方の定理の利用(中3)

第2章 数と式―代数学

西のギリシャ、東のインド
1000年も受け入れられなかった「負の数」
古代オリエントで産声を上げた「代数学」
代数学の2人の「父」
方程式を解くために必要なこと
算数と数学の違い
解の公式をめぐる数学の挑戦
演繹的思考の功罪
数を概念で捉える―負の数(中1)
(-1)×(-1)=+1の理由
見えなくても存在が認められた数―平方根(中3)
『原論』にも通じる正しいプロセス―1次方程式(中1)
代入法こそ未知数消去の王道―連立方程式(中2)
中学数学で最難関の式変形に挑む―2次方程式(中3)
モデル化の練習―方程式の応用(中1から中3)

第3章 関数―解析学

「変数」との出会い
デカルトの「革命」―解析幾何学の誕生
オイラーから始まった「解析学」
関数は「函数」だった
因果関係について
1対1対応の使い方―「計算」の語源が「小石」である理由
変数との出会い―関数(中1から中3)
関数を調べる際の基本―変化の割合
原因をつきとめる―関数の利用(中1から中3)
変化を目撃する―関数とグラフ(中1から中3)

第4章 資料の活用―確率・統計学

確率論黎明期の論争①
確率論黎明期の論争②
確率論黎明期の論争③
「ラプラスの悪魔」について
統計家は最もセクシーな職業?
近代統計学の父
ナイチンゲールと統計学
ディーパーティーと推測統計
ランダムの難しさと大切さ
「同様に確からしいか」を確認する―確率(中2)
データの特性をつかむ―資料の整理(中1)
部分から全体を推し量る―標本調査(中3)

おわりに
参考文献
関連年表

《裏表紙》
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《書店に置いてもらうPOPと共に》
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余談ですが、本書は節目の10冊目で、初の新書(裏表紙に写真が載るのも初めて)。新しい読者の方との出会いが楽しみです♪筑摩書房さんには貴重な機会を頂戴し、心から感謝しています。

【Amazon】

【出版社サイト】
筑摩書房 中学生からの数学「超」入門 ─起源をたどれば思考がわかる / 永野 裕之 著

【新刊】統計学のための数学教室

 

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9/11(金)に新刊が出ます。タイトルは『 統計学のための数学教室 』です。

統計を学びたくても、そこに登場する数学がわからない。そんな方のために書きました。

以下は、「はじめに」からの抜粋です。

「統計リテラシー」の世代間格差

今年(2015年)の春、「新課程」の教育を受けたいわゆる「脱ゆとり世代」の第1期生が高校を卒業しました。彼らは理系・文系の区別なく「データの分析」という数学Iに新設された必須単元の中で、ヒストグラム、箱ひげ図、分散、標準偏差、相関係数といった統計の基礎を身につけています。

一方、1974年生まれの私も含め、ほとんどの社会人にとって統計は(履修する人が少ない)選択単元だったはずです。統計を学校で学んだことのある人はごく一部ではないでしょうか?

今更、私が言うまでもなく、昨今のビジネスシーンでは統計が使える能力、すなわち「統計リテラシー」が必須になっています。しかし2015年以降に高校を卒業する世代と、2015年以前に高校を卒業した世代の間には統計リテラシーの点において小さくはない「格差」があるのが現状です。

社会人が統計を理解できない理由

そんな社会情勢を映すように、永野数学塾(大人の数学塾)にいらっしゃる社会人からも

「統計を教えて欲しい」

というリクエストはとても多いです。私は最初

「これだけ世にたくさんの統計の本が出ているのに、わざわざ習いに来るということは、きっと踏み込んだ統計の話が聞きたいんだろう」

と想像していたのですが、実際に指導を始めてみるとほとんどの生徒さんは統計そのものより、そこに登場する数学に躓いていることが分かりました。統計本に出てくる中学~高校レベルの数学が分からないために本当に基礎的な統計のことが理解できずに止まってしまうのです。逆に言うと、数学に明るくなれば統計自体を学ぶことはたくさんの良書が助けてくれます(本書の巻末に参考文献をまとめました)。

しかし不思議なことに「統計に使う数学」そのものを解説している本はほとんどありません。だからこそ私は本書の筆を取りました。この本は学校で統計を習わなかった社会人が統計を自学自習するのに必要な数学を学んでもらう本です。

本書の内容

第1章【データを整理するための基礎知識】では
…基本用語を押さえて「脱ゆとり世代」に追いつこう
第2章【データを分析するための基礎知識】では
…√と乗法公式から標準偏差の意味を理解する
第3章【相関関係を調べるための数学】では
…2次方程式を使って、相関係数「−1 ≦ r ≦ 1」の謎を解く
第4章【バラバラのデータを分析するための数学】では
…確率とΣがわかれば確率変数が腑に落ちる
第5章【連続するデータを分析するための数学】では
…極限と積分で、正規分布と検定の本質をつかむ

詳しい内容は、こちらダイヤモンド社サイト)にある通りですが、本書では中学~高校で学ぶ数学の中から統計に必要な数学を厳選してあります。割り算の意味や割合(第1章)といった小学校レベルの算数から始まり、平方根、多項式の計算(第2章)、関数とグラフ(第3章)、場合の数、確率、Σ記号(第4章)、極限、積分(第5章)へと至ります。かなり盛りだくさんです。そのひとつひとつをできるだけ丁寧に説明しました。数学部分はもちろん、統計部分の解説も含めてここまで詳しく書いてある本は、他にはないだろうと自負しています。

今回も『 大 人のための数学勉強法 』、『 大人のための中学数学勉強法 』でご一緒したきたみりゅうじさんのイラストには大いに助けていただきました。また、監修の専修大学心理統計学研究室の岡田健介先生からは、統計の部分の解説に関して目から鱗が落ちまくるレクチャーを存分に頂き、それらはすべて紙面に反映させています。

それから、各章ごとに下のような数学と統計を結ぶフローチャートを載せたことも本書の大きな特徴です。

2次関数の理解~2次不等式のフローチャート-2

フローチャートによって、ある統計量を理解するためにはどのような数学が必要になるかを一目で分かってもらえると思います。

本書では「脱ゆとり世代」が必須単元として学ぶ統計の内容は第3章までにまとめ、第4章では離散型データ(バラバラのデータ)の確率分布、第5章では連続型データの確率密度関数等を理解できるようになることを目指します。つまり集めたデータから必要な情報を読み取るいわゆる記述統計を総括し、部分的なデータから全体を推し量る推測統計の入り口までをご案内するのが本書の目的です。

統計のための数学は社会人に必須の数学リテラシー

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私は本書を書きながらつくづく思いました。ここに登場する数学は(統計のために選択したものではありますが)社会人ならば誰もが身につけておくべき「数学リテラシー」そのものだと。本書に登場する数学を身につけてもらえれば、数学に明るい商談相手に臆することはなくなるでしょうし、数字が踊る資料やExcelの関数を理解したり、グラフを使ってより説得力のあるプレゼンをしたりすることもきっとできるようになります。もちろん、論理的な思考力も磨くことができるでしょう。

ご興味のある方は是非、お手に取ってみてください。

【Amazon】

 

【出版社(ダイヤモンド社)サイト】立ち読みもできます!
この1冊で腑に落ちる 統計学のための数学教室 | 永野 裕之 著/岡田謙介 監修 | 書籍 | ダイヤモンド社

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