0.9999…=1の理由(無限∞と循環小数)


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Photo Credit: Nicola Zuliani via Compfight cc

昨日、twitterでフォロワーさんからこれを教えてくださいというメンションが飛んできました。↓


https://twitter.com/wwwyuu_k/status/340084738981253120/photo/1

フォロワーさんは学生さん(学年は不詳)で学校の先生の話を元に自己流で考えた、ということでした。素晴らしいです\(^o^)/。

数学というのは与えらた問題を与えらた解法に従って解くだけでは決してできるようになりません。このフォロワーさんのように自ら疑問を持ち、自分の手と頭を使って考えることで初めて「数学脳」が育ちます。しかも上の疑問は「無限」というものの実体に対する疑問でもありますから、とても意味のある良い質問です。

と…前置きはこれくらいにして、質問に答えていきますね。

 

循環小数の求め方

2.999…のように小数点以下に同じ数字が永遠に繰り返される数を循環小数と言います。循環小数は

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のように、繰り返す数字の上に(2種類以上の数字を繰り返す時はその最初と最後に)「・」をつけて表すことになっています。

「同じ数字が永遠に繰り返される」というのは不思議ですね。と、いうことは「2.999…は、ほぼ3」のように、だいたいの値しか分からないのでしょうか?いいえ。そんなことはありません!循環小数の値は次のようにすれば完璧に正確な値を求めることができます。

循環小数は分数で表せる(有理数である)ことが分かっています。その求め方はこうです。

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とすると、

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両方の差を取ります。

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以上より、

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です!ちなみに、0.123123…も

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として、差を取れば

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と求まります(やってみて下さいね!)

 

0.9999…=1 or 0.9999…≒1 ?

上の解き方は高校の数学1の「実数」という単元に出てくるものですが、こう言われても騙されたような気がしますよね。かくいう私もそうでした。でも、決して騙しているわけではありません。正真正銘、2.9999…は「ほぼ3」ではなく、「完璧に3」なのです。

説明しますね。

2.9999…は、

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と分解できることから、「2.9999…は完璧に3である」と「0.9999…は完璧に1である」は同じ意味になります。つまり、

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です。とはいえ、誰もがこう思うでしょう。

「いやあ、”厳密には”0.9999…は1よりちょっとは小さいでしょう」と。

その気持はよ~くわかります。実際に

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ですから。ここで「あれ?」と思った人は鋭いです。そうです。

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なのに、

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なのです。この2つはとても似ていますが実は「…」の意味が違います

「0.999…9」の「…」は「書ききれない(でも書こうと思えば書ける)くらいのたくさんの9」という意味で、「0.9999…」の「…」は「限りなく(どんなに頑張っても書ききれない)9が続く」という意味です。

別の言い方をすれば、

「0.999…9」の「…」は有限個の9

「0.9999…」の「…」は無限個の9

表している、ということになります。いやあ、紛らわしいですね。同じ「…」を使っているのに意味が違うなんて!

結局、0のあと小数点以下に9が有限個続く数は(たとえそれがどんなにたくさん並んでも)1より小さくなりますが、0のあと小数点以下に9が無限個続く数は完璧に1に等しくなります。

《参考図書》

 

…と言われて、納得できましたか?できないですよねえ。私も高校生の時はほとんど理解できませんでした。「無限」というのはそれだけ難しい概念なんです。もう少し説明しますね(うまく書けるかどうかわかりませんが…)

 

無限∞について

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Photo Credit: Maxime Raphael via Compfight cc

「無限」という言葉は小学生でも使います。多くの人が「限りが無いことでしょ」と直感的に「理解」しています。そして無限大と言えばどんな数よりも大きい数(あるいはとっても大きな数)のことだと漠然と思っている人は少なくないでしょう。

でも、無限を厳密に理解することは非常に難しい問題を含んでいます。ニュートンやライプニッツが創設した微分積分学は、その根底に無限小や無限大といった概念を使っていますが、あの大数学者ガウスは無限を厳密に定義することの困難にいち早く気づき、

Carl_Friedrich_Gaussカール・フリードリヒ・ガウス

「無限というものを何か完結したものとして扱うのは反対です。それは数学では決して許されません。あくまで『無限に大きくしていく』というプロセスとして使うのです。」

と言ったそうです

※ 19世紀にカントールは無限そのものを捉えるために集合論を考えだし、ワイエルシュトラスは無限小や無限大という概念を出さずに収束や連続を議論できるようにいわゆる「ε-δ (イプシロン-デルタ)論法」を完成させました。

参考記事→高校数学の内容(新課程)と数学史

本音を言えば無限の話に下手に手を出すと、痛い目(?)にあいそうなのであまり触れたくないところなのですが(^_^;)、誤解を恐れずに書けば無限大というのは下の図のようなイメージです。

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有限の数をどんな大きくしても無限大にはなりません。例えば1兆の1兆乗は、名前もないようなとてつもなく大きな数になります。でもそれは無限大ではありません(宇宙の大きさだって無限大ではありません)。なぜなら有限の世界と無限大は繋がっていないからです。この2つの間には「超えられない壁」があると思って下さい。

この壁を超える魔法が「限りなく大きくする」という「極限」(数学2)です。「xを限りなく大きくする」というのは

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という記号で書きます。これは、この超えられない壁を超えるための魔法でありおまじないなのです。

壁を超えると世界は一変します。そこにある数はすべて「∞」という1種類の記号で表されますが、「∞」がとり得る値の範囲は有限の世界の大きさを遥かに超えるものです。無限大の世界では次のいずれもが正しい式になり得ます(もちろん正しくないときもあります)。

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このように無限大は有限の世界の数とはまったく異なる性質を持っています。そんな無限大の数で有限の世界の数を割ると、とてつもなく小さな数になる…のではなく、完全に0に等しくなります。それを数式で表せば

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ということになりますが、数学では「∞」の記号を数式の中で直に使うことは普通しません。この式と同じ内容を通常は

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のように書きます。

繰り返しますが、無限の世界というのは別世界です。有限の世界における「常識」は無限の世界には通用しません。ごく当たり前の「感覚」も邪魔になります。無限の世界を生きるには全く新しいコンセプト、全く新しい世界観が必要なのです。その新しい世界観を端的に表しているのが上式です。

ちなみに上式の理解があれば、有名なゼノンのパラドックスの「アキレスと亀」などは解決します。

アキレスと亀

「走ることの最も遅いものですら最も速いものによって決して追い着かれないであろう。なぜなら、追うものは、追い着く以前に、逃げるものが走りはじめた点に着かなければならず、したがって、より遅いものは常にいくらかずつ先んじていなければならないからである、という議論である。」アリストテレス『自然学』

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∞(無限大)を使った0.9999…=1の証明

では∞を使って、先ほどの「0.9999…=1」を証明してみましょう。

ただし、この先は数学Bで習う「等比数列の和の公式」を使いますm(_ _)m

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と考えれば、右辺は初項が0.9.、公比が0.1、項数が∞の等比数列になっています。

一般に初項がa、公比がr、項数がnの等比数列の和Sは

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となるので、これを使うと、

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となり、0.9999…=1であることが証明できました!\(^o^)/

※ 途中で10=∞を使っています。

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