月の本当の姿を求めて


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皆さんは月の色を何色だと思っていますか?

月の色といえば、白(あるいはやや黄味がかった白)という印象を持っている人が多いと思いますが、それは皆さんが月のカラー写真をほとんど見たことがないからです。月は衛星であり自分で光ることはないので、太陽からの光を反射して光ります。(詳しくは過去記事⇒星の色)すなわち、月の色とは月の表面を覆っている鉱物が太陽の光を反射した時の色なのです。

当然、月の表面には様々な鉱物が散らばっています。その、それぞれの鉱物の反射光の違いをやや強調してデジタル処理した写真がこれです。

これはラッセル・クローマンというアマチュア天文家の写真です。
意外な感じがしますよね?

同じような写真ですが、クレイグ・レントという人のHPにもこのような写真がありました。

レント氏いわく、月の高地に当たるところにはシリコンやカルシウム、アルミニウムがあり、「月の海」と呼ばれる低地には玄武岩や鉄、チタンが含まれているとのこと。赤土色に見えている部分が「月の海」、そして青く見えるところが高地だということです。
いずれもデジタル処理をして色を強調した写真なので、実際にこのように見えるわけではありませんが、少なくとも月世界はモノクロの世界ではないようです。

月の鉱物地図

グーグルムーンをご存知でしょうか?

これはアポロ計画によって、撮影されたり採取されたりしたデータを元に月面をグーグルマップと同じ感覚で月面を散策できるサイトでとても面白いのですが、右上の「chart」をクリックすると、

の様な鉱物の種類によって色分けされた「鉱物の地図」を見ることができます。たくさんの種類の鉱物が散らばっているのが分かりますね。
Web版のこのグーグルムーンで「散策」することができるのは、アポロ計画で明らかになった月の表側(地球側)の一部分だけで、月の全球を見ることはできませんが、グーグルアースの中の「月」レイヤーでは、月の全球を3Dで散策することができて感激です。
Google Earth で月面着陸(グーグルアースのインストールが必要です)

実はグーグルがこのような全球の3D地図を作ることが出来たのは、日本の月周回衛星「かぐや」がデータを提供したからです。グーグルアースではかぐや搭載のハイビジョンカメラによる画像も楽しむことができます。

かぐや計画

日本の月周回衛星かぐや(SELENE)は、2007年9月14日に打ち上げられ2009年6月11日に月面に制御落下させられるまでの約1年半、月を周回しながら様々な観測を行いました。
JAXA 月周回衛星「かぐや(SELENE)」

[かぐや観測イメージ:画像元JAXA

かぐや計画の主な成果

《月全球の3D地図の作成》
約677万地点を観測したデータを使い、従来よりも詳細な月の地形図を作成。月の最高峰は10.75キロメートル(従来の値を約3キロ上回る)、最深部がマイナス9.06キロメートルであるといったことが分かりました。

《ハイビジョンカメラによる画像》

NHKのハイビジョンカメラで月面の他、「満地球の出」などの撮影に成功。半影月食が起きた2009年2月19日には、月から見た地球の「ダイヤモンドリング」の撮影に世界で初めて成功しました。

「満地球の出」

「ダイヤモンドリング」


《月の裏側の重力異常の観測に成功》

重力異常とは、それぞれの地点での重力値から、月全体の平均の重力値を引いた差のことを言います。

左側が表で、右側が裏。赤色は重力が強く正の重力異常、青色は重力が弱く負の重力異常を示します。表と裏側では重力異常が異なるのが分かります。
この重力異常の違いは、月が形成された当時の冷却速度が表と裏で違うからだと考えられています。表側は月ができてしばらくの間(数億~5億年)は温かかったのに対して、裏側はかなり速く冷えたのではないかと思われます。

《月面日照量の調査》
月の極点での日照量を正確に測定し、月面で最大の日照率は北極域で89%、南極域で86%であり、永久日照の地域
がないことが明らかになりました。また、月に永久影が存在することも分かりました。将来の月面基地では、太陽光が重要なエネルギー源となりますので、日照率の詳細が分かったことは、基地の候補地を決めるうえで大変役立ちます。

などなど…他にもたくさんあります。

詳しくは⇒かぐやのこれまでの主な科学的成果(JAXA)

かぐや2号計画(SELENE-2)

日本初の月面着陸探査機の計画があります。それが2010年代半ば頃に打ち上げが予定されている「かぐや2号(SELENE-2)計画」です。

突然ですが、この写真を見たことがあるでしょうか?

[画像元:NASA
これは、アポロ11号計画によって人類が初めて月面に到達した時に遺された「足あと」です。文字通りの「人類最初の第一歩」として感慨はもちろんあるのですが、この写真は月の表面についても雄弁に語っています。

例えば、地球上でかわいた大地の上に踏み出した時、このような足あとはつくでしょうか?つきませんね。月にこのような足あとがついたのは、月の表面が「砂だらけ」だからなのです。この砂のことを「レゴリス」と言います。

かぐや計画によって、外から見て得られるデータは十分な量が集められましたが、レゴリスの下がどうなっているかを詳しく調べるためにはどうしても、月の表面に着陸する必要があります。表面のレゴリスを払い落として岩石の真の姿を観測したり、さらにその下の月の内部の構造を調べたりすることが計画されています。

また、将来月面基地をつくるにあたって地盤や現地で調達できる材料の有無の調査なども期待されています。

かぐや2号で使われる技術は世界的にも最先端のものです。「かぐや」に続いて、「かぐや2号」も成功させることで、「月探査と言えば日本!」と言われる位の立場を築いてほしいなあ、と個人的には思います(^_-)-☆



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