私が生徒を叱るとき~熟考のススメ~


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 (第24期竜王戦で熟考する羽生名人

生徒が失敗したとき(テストの結果が悪いときなど)私は生徒を叱りません。すでに本人が反省している場合、叱る必要はないからです。私が生徒を叱るのは、生徒がいい気になっているときです。浅い理解や低い目標の達成で生徒が有頂天になっている時
「まだまだこんなもんじゃないぞ」
と一喝します。

早合点、知ったかぶり…これらは、数学や理科において大敵です。

ある事柄を本当に理解するための第一歩は、その難しさが味わえることです。浅い理解で「分かった」と早合点したり、知ったかぶりしたりする事は恥ずかしいだけでなく本当の理解の妨げになります。コロンブスの卵に対して
「そんなの簡単じゃん」
と思う人は決して第2のコロンブスにはなれないでしょう。逆にその発想の斬新さを味わえて
「この発想が難しい(素晴らしい)」
と具体的に言えるようになれば本当の理解はもう目前です。

情報化社会の現代は速いことばかりが礼賛されています。世間では質問に対して即答できるのが「賢い」と思われがちですが果たしてそうでしょうか。様々な可能性を吟味していたら即答できるはずがないこともあるはずです。

即答ばかりを求められてきた子供たちは、考えることをしなくなっています。これは大変由々しき事態です。即答よりも熟考が評価されることがもっとあって良いと私は思っています。

私の東大の同級生に「筑駒(筑波大学附属駒場高等学校)始まって以来の秀才」という評判のT君という友人がいます。彼とは東大歌劇団というオペラの演奏サークルで知り合ったのですが、1年生の時、彼と私は渉外担当になり色々と2人で作業する機会がありました。その作業の中でT君は本当によく「熟考」しました。
例えば、演奏会のお知らせのハガキを各大学に送付する時も、私なんかは浅はかに

「とりあえず目ぼしい所は全部送っておけばいいんじゃない?」

などと提案するのですが、彼は1校1校について

「この大学は歌劇団という名の団体はあるけれど、実態はミュージカル団体だから…」

とハガキ1枚の郵送代に対する効果を考えていくのです。

結果として素晴らしい費用対効果が達成されるのは言うまでもありません。

私は、生徒さんたちに、早合点や知ったかぶりをする人間になってほしくありません。必要な時はじっくり時間をかけて熟考できる人間に、そして難しいことに対しては「これは難しい」と謙虚にその難しさを受け止められる人間になって欲しいと願っています。

最期に私の好きな言葉を添えたいと思います。

「雨だれが石を穿(うが)つのは、
 激しく落ちるからではなく、

 何度も落ちるからだ(ルクレティウス)」



永野数学塾-東大卒講師の個別指導-神奈川県大和市中央林間

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