斎藤秀雄先生


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今日は斎藤秀雄先生の110回目の誕生日\(^o^)/

斎藤秀雄先生はチェリスト、指揮者、音楽教育者として日本の音楽界の屋台骨を築かれた方です。1927年にNHK交響楽団の前身である新交響楽団に首席チェロ奏者として入団。翌1928年の第30回定期では指揮者としてデビューしましたが、やはり斎藤「先生」は教育者としての功績が輝いています。1948年に井口基成、吉田秀和らと「子供のための音楽教室」を開設。これが後の桐朋学園の一連の音楽系学科開設につながっていきました。弟子には小澤征爾をはじめ、山本直純、岩城宏之、若杉弘、井上道義、秋山和慶、飯守泰次郎、今井信子、堤剛など錚々たるメンバーがその名を連ねています。

斎藤指揮法

指揮法教程/斎藤 秀雄

斎藤秀雄先生が考案された「斎藤指揮法」は今では「Saito-method」として世界中の音楽学校で教えられており、指揮者を目指す者にとっては必須だとも言われています。なぜ斎藤指揮法はここまで世界のスタンダードになり得たのでしょうか?実はその指揮法そのものに奇抜なところや独特なところはほとんどありません。斎藤指揮法が画期的なところは、それまでの指揮者がほとんど無意識のうちに行なっていた腕の運動に「叩き」「跳ね上げ」「平均運動」といった名前をつけて、それを指揮者に意識させたことです。これにより指揮者は自分がどのような腕の動きで、何を伝えたいのかを明確にイメージするようになり、結果として奏者も指揮者の意図が理解しやすくなりました。こうして斎藤指揮法は「分かりやすい指揮法」として世界的な地位を確立したのでした。

私も、斎藤先生の直接の弟子である高階正光先生のもとで斎藤指揮法を学ばせていただきました(そういう意味では私は斎藤先生の孫弟子です)。正直、最初は随分と堅苦しく感じたのですが、動きを明確に意識することの意味が分かってからは、この指揮法が基礎としていかに優れているかを痛感しました。そして、斎藤先生ご自身もおっしゃっているように「型から入り型から出る」ことがその極意なのだと思います。
完本 指揮法入門/高階 正光

教育者として

月謝は最低限、レッスン代を免除することもある、できの悪い生徒に対してこそ絶対に手抜きをしない…。教育者・斎藤秀雄氏は多くの弟子を導いたまさに本物の「師」でした。教師としての逸話には事欠かない方ですが、こんなエピソードも残っています。

斎藤氏は毎年、学生オーケストラを引き連れて、志賀高原で夏の合宿を行なっていました。最晩年、癌に冒され死の淵にあっても車椅子で参加して、学生を指揮したそうです。

「ごめんね。これしか手が動かない。」

と言う師のわずかな手の動きから全てを汲み取ろうと演奏する学生たち。その時、最後に演奏した曲はモーツァルトの“ディヴェルティメントニ長調K.136”という曲で、それは斎藤と学生の心が一体になった類い稀なモーツァルトでした。ちなみに”ディヴェルティメント”とは日本語に訳すと「嬉遊曲」という意味ですが、演奏終了後、その場にいた湯治客の1人が

「今夜は本当に素晴らしかった。
 ところで、”ディヴェルティメント”というのは『お別れの曲』という意味ですか?」

と尋ねてきました。この一言で、それまで抑えてきた学生たちの感情は崩れ、嗚咽の声が漏れました…(詳しくは↓)
嬉遊曲、鳴りやまず―斎藤秀雄の生涯/中丸 美繪

斎藤秀雄先生の名言


・型には入れ、そして型から出よ


・日本には西洋音楽の伝統はない。

 しかし、悪い伝統もないから、

 西洋のよいところだけを学べばよい


・演奏家になった以上は表現することが一番大事。

 じゃあどうしたら「表現」できるようになるか。

 そのためには緻密に、とにかく緻密に作ること。

 アバウトでは駄目。緻密すぎるほど緻密に作って初めて

 「表現」までいくことができる。


・よく指がまわるというのは、

 音楽をつくるうえで必要なだけで、

 それが聞こえるようじゃだめだ。


・レッスンの度ごとに、必ず生徒の新しいことをみつけだしてやるような先生、

 それができないようなら教師なんかやめた方がいい


・自分のためじゃなくて、何でも他人のためになることを、

 収入のことを考えないでまじめにやれる人、

 一番偉いと思うんです

教師の評価はどれだけ優れた弟子(生徒)を育てたかで決まると思います。そして斎藤先生ほど、音楽教師として多くの逸材を世に送り出した先生は他にいないでしょう。

教育者として確固たる信念を持つこと、生徒に熱い愛情を持ち続けること、生徒を信じ抜き諦めないこと…同じ教師の端くれとして、斎藤先生に学ぶところは計り知れません。

今日の動画

小澤征爾/ベルリンフィル「ロシアンナイト」から
ストラヴィンスキーの火の鳥(抜粋)

驚くほど分かりやすい指揮です。決して簡単な曲ではありませんがオーケストラが安心して音を出しているのが良く分かります。ちなみにこの曲のフィナーレでは「王貞治、長嶋茂雄」と聞こえる変拍子が繰り返されます。探してみて下さい(^_-)-☆
 

小澤征爾/サイトウ・キネン・オーケストラ
モーツァルト””ディベルティメントK.136″より2楽章

 

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