理系か文系か?【進路相談について】


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最近、ある生徒さんから

「理系と文系どちらにしようか迷っているんです…」

進路相談を受けました。

「数学は好きなんですが理科があまり得意ではないのでやっぱり文系でしょうか?」

という質問でした…。この生徒さんに限ったことではありませんが、「数学(理科)が苦手だから」文系を、あるいは「国語(社会)が苦手だから」理系を選択しようとする学生さんは多いです。でも私はそうやって進路を選択することに違和感を覚えます。

そもそも文系・理系の区分は興味のある分野の区分であって、特定の分野ができないことを既成事実化するためのものではないはずです。

まず、理系に進んだとしても国語の力(言語能力)は必要不可欠です。人間は誰でも、ものごとを考える時に言葉を使いますが、その言葉が貧相であれば、思考そのものも貧相になってしまうからです。優れた思考を積み上げるために、言語能力は磨き続ける必要があります。(cf.”国語力がある子は伸びる!“)  

また、
「私(僕)は文系人間だから…」
と数学が苦手であるのは仕方がないような言い方をする人は少なくありません。でも本当にそうでしょうか?確かに、文系に進めば三角関数やベクトルや微積分とは縁がなくなるでしょう。でも、数学というのはそういう「道具」の扱い方を習得するための教科ではありません。数学を学ぶのは、ものごとを論理的に考える力を養うためです。そして「論理的に考える力」は文系、理系の区別なくすべての人が身につけるべき力だと私は思います。

「そんな事言っても、数学の才能がないんだから仕方ないよ…」
という声が聞こえてきそうです。でも、安心して下さい。数学者になって世界の数学をリードしたいとでも思わない限り、「数学の才能」が求められることはありません。

数学者の秋山仁先生はその著書「数学に恋したくなる話」の中で、「理系大学に進んできちんと卒業するために特別な数学の才能など必要ない」と仰っています。私もこの意見には全面的に賛成です。この本の中で先生が挙げられている「理系大学進学に必要な能力」は以下の4つです。

理系大学進学に必要な能力(by秋山仁先生)

(1)自分の靴を揃えて指定されている自分の靴箱にしまえる
(2)知らない単語の意味を辞書を引いて調べることができる
(3)カレーライスが作れる〔レシピを見ても良い〕
(4)自宅の最寄り駅から自宅までの地図が書ける

《解説》
(1)1対1対応の概念が分かる

自分の左右の靴を対応させ、さらに指定されている自分の靴箱に対応させることができるのはすなわち1対1の概念が分かっている証拠です。

(2)順序関係を理解できる

例えば「book」ならbが2番目の文字で、次のoはnとpの間で・・・とアルファベット26文字の順序関係が分かっていることが必要です。

(3)手順を整理し実行&観察ができる

材料を揃えて作業の手順に従ってそれに適切な処理をし、さらに経過を観察する力が必要になります。

(4)抽象能力がある

3次元空間を2次元平面に落とし込むには余計な情報を削ぎ落とし、必要な情報だけを表現する抽象能力が必要です。

数学に恋したくなる話 /秋山 仁

どうですか?
「これくらいならできそうだ」と思えることばかりではありませんか?数学は正しい勉強法で取り組みさえすれば、誰でも必ずできるようになります。必要なのは才能ではなく、正しい方法と努力です。

もし、進路に悩む中学生・高校生がこのblogを読んでくれているとしたら、私は尋ねます。

「あなたが好きな科目は何ですか?」
「あなたが将来就きたい仕事は何ですか?」

私自身、高校1年の進路選択の時は先生から「文系にしたら?」と薦められました。それだけじゃなく高校2年になって理系のクラスに在籍していても、個人的に呼び出されて「文転する気はないか?」と言われました。当時の私は、数学よりも国語や英語の方がずっと良い成績だったので、学校側としては合格実績を作るために、文系を薦めたくなるのも無理はないのかもしれません。

しかし、私は理系にこだわり続けました。なぜならどうしても大学で宇宙論(後に惑星物理に変成)を学びたいと思っていたからです。それは小さい時からの夢でした。結果として、今の自分があります。高校生の時、先生の薦めるままに文系を選択していたとしたら、今とはまったく違う人生になっていたことでしょう。もしかしたらその方が「楽」だったかもしれません(そんな事はないでしょうが)。しかし、私は「文系にした方が良かったかな…」と思ったことは一度もありません。それは自分の好きなこと、やりたいことのために進路を選択したからです。

もしあなたが中学生、高校生ならば、あなたがこれまで勉強してきた内容は、どの科目もその先に広がる広大な世界のほんの一部に過ぎません。今、あなたが「苦手」と思っている科目もその先に進めば、先生が変われば、新しい本と出会えば、突然面白くなったり、突然得意になったりする可能性は大いにあります。

逃げるために進路を選ばないで下さい。

挑戦するために進路を選んで下さい。

10代という人生で最も希望と可能性に満ち溢れているはずの時に、逃げたり、諦めたり、自分の「才能」に見切りをつけたりする経験を積んで欲しくないと、私は思います。

永野数学塾では、結果的に理系を選択する生徒さんがとても多いですが、数学・物理・化学の教師としては、少なくとも私の生徒さんが「数学(理科)が苦手だから…」と後ろ向きに文系を選択するようなことにはならないように、文系に進むにしても数学(理科)の楽しさや意味が分かってもらえるように、精一杯教えていくつもりです。



永野数学塾-東大卒講師の個別指導-神奈川県大和市中央林間

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