クローズアップ現代


先日(2011/7/27)NHKの「クローズアップ現代」「大人がハマる“数学ブーム”の謎」という番組が放映されました。 実は永野数学塾の大人の数学塾でも、先月この番組のディレクターさんから取材を受けました。

きちんと事前に企画書をお送り下さり、それによりますと「単なる『物珍しいブーム』としてではなく、『真の数学の魅力』『数学を学ぶ意味』を広く視聴者の方に伝えるために制作したい」ということでした。

このディレクターさんはこのブログの「大人の数学ブーム(?)について」という記事に興味を持ってくださって
「この方に数学を教えてもらった生徒さんは、一体どんな数学観を持つのだろう?」
と取材の申し込みをされたそうです。

カメラはなしの「情報取材」という形でしたが、私もNHKさんの「クローズアップ現代」に取材していただくのは光栄なことなので、少しでもお役に立てるならと喜んでご協力させていただきました。(具体的には私へのインタビューと授業見学、それに生徒さんへのインタビューでした。)

番組では前半に「オイラーの贈物」を読み解いていく過程で論理を1つずつ積み上げていくことの面白さ、後半に、数学的な思考がビジネスや普段の生活にいかに役立つかについて取り上げられていました。

「勉強のコツは『覚えない』ことだ」というのが私の持論です。数学を学ぶことは論理を学ぶことであり、その論理は公式や定理の結果ではなくその証明の過程にこそあると常々生徒さんには説いております。
また、定理や公式を丸暗記してあてはめるだけの勉強は成果があがらないだけではなく、勉強をつまらないものにしてしまう最大の原因であることもいつも話しています。

その意味で「オイラーの公式の証明」という高い頂きに向かって一歩一歩進んでいくことの喜びには大いに共感できましたし、大人の方だけではなく、学生の皆さんにとっても番組をご覧になった方には数学を学ぶ喜びに気づく良いきっかけになったのではないかと思います。

番組の後半では数学的思考が生活に役立つ一つの例として、「以前に似たような問題はなかったか?」と考える事、すなわちパターンに分類するという手法について取り上げつつ「東大の漕艇部(ボート部)に新入部員が入らないのはなぜか?」という問いを考える代わりに「東大の漕艇部(ボート部)に新入部員が入ったのはなぜか?」と視点を変えて考えることで「解」を得た例が取り上げられていました。

私はここでもう一つ数学的思考が生活に役立つ例として「一般化」ということについて取り上げたいと思います。一般化とは何でしょう?それは例えばこういうことです。
Aくんの飼っていた亀が死んでしまった。
Bさんの飼っていたウサギが死んでしまった。
Cさんの家の花が枯れてしまった。
…という個々の例から「すべての生物は死ぬ」という全体に通じる理論を導き出すことです。難しい言葉で言えばこのような考え方を「帰納法」といいます。

この「一般化」する能力は数学を学ぶことによって鍛えることができます。では「一般化」の能力はどのように普段の生活で役立つのでしょうか?

仮にあなたが失恋をしたとします。とても悲しい事です。とてもつらいことです。でもその失恋から人として学ぶことはなかったでしょうか?特定の相手に振られてしまった原因になったあなたの「言動」は、実はどのような相手に対しても振られてしまう原因になり得ることに気づくことができれば、すなわち失恋の原因を一般化できれば、あなたはもう二度ど同じ過ちは犯さないでしょう。人として大きく成長できるはずです。
嫌なことがあったとき、一般化できない嫌なことは単なる嫌なことですが、一般化できた嫌なことはあなたの成長に繋がるのです。

「一般化」の能力に限らず数学的な思考を身につけることは人生を生きて行く上でとても大きな財産になります。三角関数もベクトルも微分・積分も日常生活で必要になることは、ほとんどありません。…にも関わらず数学がほぼすべての先進国で必須科目になっているのはこのような数学的思考を身につけることが最大の目標だからです。

三角関数もベクトルもそのための材料にすぎません。学生の皆さんの多くが次から次へとやってくる試験や課題に終われてなかなかそのようなことに気づく余裕がなく、数学の勉強が単なる公式のあてはめに終始してしまい、結果として「数学嫌い」になってしまうことはとても残念なことです。

永野数学塾では学生の皆さんにも大人の方にも数学を学ぶ意味が分かってもらえるように、そして数学が好きになってもらえることを目指して 、日々授業を行っています。

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