男女の数学的能力の差


永野数学塾塾長日記
少々古い記事になりますが、日経サイエンス3月号に、男女の数学的脳力の差について興味深い記事が載っていました。以下、抜粋しながら引用させていただきます。

ハーバード大学前学長のサマーズは2005年、科学技術分野のトップに女性がいないのは男女の生まれつきのさが原因だ、というような発言をして辞職においこまれましたが、その時に引用されたのが
「男性は女性よりもばらつきが大きい」という仮説だ。
それによると、平均的には男女に数学的脳力の差はないが、男性は脳力のばらつきが大きい。つまり、男性は数学につまずく人の割合も大きいが、脳の発達の仕方か何かが原因で、数学に秀でた男性の割合も同じくらい高いという。
数学コンテストの勝者がほとんど男子であることや一流大学の数学科は女性よりも男性の方が圧倒的に多いのはこの仮説で説明できると考えられてきた。しかし、この度その仮説が科学的に検証され、説得力に乏しいことが明らになった。
(中略)
《ウィスコンシン大学のメルツ教授らが52カ国の数学の成績データを解析したところ》男性の分散(点数のばらつき)が女性を上回る国もあれば下回る国もあり、「国によってばらばらだということは、人間の遺伝的特徴が国ごとに異なるとでも考えない限り遺伝的な差はないことを意味している」とメルツは主張する。「男女の成績差の大半は 社会的・文化的要因を反映しているに違いない」
(中略)
ひとつの手がかりは社会的男女差の指標として広く使われている各国の「ジェンダーギャップ指数」が
国際学習到達度PISAの数学テストで上位5%に入った生徒の男女比と相関しているという発見だ。チェコ共和国などの一部の国では、男女の数学の得点分布はほぼ同じだった。
数学の成績の男女差が本来的なものではないことを示すもうひとつの手がかりは、男女差が縮小していることだ。米国の場合SAT(大学進学適性試験)の数学の得点が700点を超えた生徒の男女比が1970年代に13:1だったのに1990年代には3:1になった。
(中略)
男性ばらつき仮説が説得力を欠くようになったいま、生まれつきの素質は以前に比べて重みを失ったようだ。

素質よりも、どのような社会的・文化的環境で育ったかという事の方が重要だという説には私も賛成です。ただし、実際に教えていると、男子生徒と女子生徒の違いは確実にあります。それは優劣ということではなく、理解のしかたの違いです。
あくまで一般論的ですが、男子生徒は初めに原理原則をしっかり説明してから具体的な問題に取り掛かった方が理解がスムーズなのに対し、女子生徒は方法を示して、先に具体的な問題を解いて見せてから、なぜ解けるのかを示した方が理解しやすいようです。
そして、この「理解のしかた」にはその生徒さん固有の個性も大きく関わってきます。日本の至芸である宮大工の職人さんは言います。
「木は一本一本違った性質を持っていて同じものはひとつもない。だから、それぞれの木の癖をつかみ、それを最大限に生かすことが大事なんです」
…教育も全く同じだと思います。男子生徒と女子生徒には理解のしかたに違いがあることを認識しているだけでは不十分で、男子だから、女子だから…と総括的な見地から教えようとしても教育はうまくいきません。個性を見抜けず画一的な枠にはめようとすればその人の良さは発揮されないのです。これは自分への戒めとしていつも心に留めておきたいと思います。

 

follow us in feedly

Post Navigation